近年、超高齢化社会に伴う社会保険費の増大や現役世代減少が問題となってます。
日々の診療でも、90歳代になる患者さんも珍しくなくなってきました。
一方で、遠隔診療などテクノロジーによる変化も目覚ましいところです。
実体験としてはアプリケーション『Atlas』による3Dの人体解剖を使って、手術イメージしたりします。
今回は医療の未来を考えていきます。
本書ではまずはじめに医療における変化と課題を明確にしています。
その後、IoT(Internet of Things)、AI(人工知能)、ビッグデータなどをはじめとした第4次産業革命テクノロジーが医療に活用された医療、『医療4.0』について考察されています。
また、未来に向けて活躍されている30人の医師の具体的な挑戦が書かれています。
この記事ではテクノロジーと医療に焦点をしぼり、外科的目線で考えていきたいと思います。
それでは一緒に医療の未来を垣間見ていきましょう!
この記事のメッセージ:テクノロジーより医療は大きく変化する。
目次
第4次産業革命テクノロジーの活用された『医療4.0』
まず大まかな医療の変遷を見ましょう。
- 医療1.0(1960年代):国民皆保険の実現
- 医療2.0(1980年代):老人保険や介護施策が進んだ
- 医療3.0(2000年代):電子カルテなどの医療のICT化
- 医療4.0(2020年代):第4次産業革命テクノロジーの活用
ここでいう第4次産業革命テクノロジーにはIoT(Internet of Things)、AI(人工知能)、ビッグデータなどを指しています。
現代医療はこの第4次産業革命テクノロジーにより大きな変化を迎えつつあります。
医療4.0で実現する3つの○○化
医療4.0では3つの点で変化が起きることが予想されています。
- 多角化:患者と医療との接点が医療機関以外に広がる
- 個別化:ゲノム医療などの個人に合わせた医療
- 主体化:患者が主役となる医療。市販薬などによるセルフメディケーション
多角化:医療接点の拡大
多角化とは医療機関以外でも医療を受けるようになることを指しています。
たとえばApple watchのようなウェアラブル端末を用いて心拍数などを測り脳卒中の早期発見につなげるなどの技術が開発されてきています。
脳卒中にかぎらずデバイスによる生体データを使ってあらゆる疾患を早期発見し、受診を促す未来がくるでしょう。
個人化:ゲノム医療
ゲノムとは生命の設計図である遺伝情報です。
今まで単一の疾患として捉えていた患者群をゲノムごとに調べる時代が来ています。
薬の作用はもちろんのこと、副作用まで予測できるよう解析が進んでいます。
主体化:患者自身で治療する
今後は、かぜなど自宅でも治療可能なものは、患者自身で治療するセルフメディケーションが進むとされています。
これを支えるのものの1つがAIです。
AIに症状や経過を相談することで、適切な治療薬を提示してもらうなどセルフメディケーションを補助してくれます。
医師としてはAIが適切な回答をできるようシステムの開発側と協力する必要が出てくるでしょう。
私の今と未来
現状
残念ながら私の今の医療は2.5くらいです笑
オーダリングと紙カルテが混在するような勤務先が多いです。
コストに対する成果が出にくいようですが、せめて3.0(すべて電子化)にはなってほしいですよね。
みなさんの勤務先はどうでしょうか。
次に私に起きる未来の医療の未来を考えます。
未来①多角化により重症を防ぐ
私の形成外科という分野では傷が悪化して重症化してから来院したり、救急搬送となってしまうケースがあります。
そのような患者では、内科的な疾患を長期にかかえている場合が多いです。
医療の多角化により内科的疾患やその合併症の発見を早めることができれば、重症患者数は少しは減らせるのではないかと思っています。
未来②診察前診断、動画ICによるセルフケア
外来での待ち時間は患者はもちろん、医師も悩みのタネです。
AIによる問診や診断は外来時間短縮につながります。
また動画ICなどで自宅の患者処置にもよりサポートしやすくなると思います。
外来前に患者自身が適切な処置をしていて、医師は確認だけ、そして必要な処方だけを追加するといった未来もおかしくありません。
今後できること
テクノロジーにより機械に任せられることが増えたり、患者主体の医療になっていきます。
一方で、患者1人1人を診ていく姿勢は変わりません。
その人にどんな医療が、そしてどんなテクノロジーが適切か考えることが必要です。
そのためにもテクノロジーも含めた自分の引き出しを増やしていかなければなりません。
まとめ
『医療4.0』を参考に医療の未来を考えました。
みなさんは医療の未来をどのように思い描きますでしょうか。
こんな未来になるのでは、こんなことが必要になるだろうなど意見があればコメントいただけると嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。